あらすじ
主人公はとても素直な中学生の「コペル君」 。
家の近所に元編集者の叔父さんが引っ越してきたところから物語は始まる。
元編集者の叔父さんと出かけた時に、「人間は分子のようである」ということを発見する。
その経験からコペルニクスのように勇気を持って生きようと決心するコペル君に
本当の勇気を試される事件が起こる―――。
「君たちはどう生きるか」は1937年に吉野源三郎さんにより新潮社から出版された本ですが、
近年では、2018年3月に羽賀翔一さんにより漫画化され、
190万部を突破するなど大ヒットを記録しました。
これぞまさに「不朽の名作」と言える一冊です!
感想
この本は一般的にあるような、すごいヒーローがいて人を救うという本ではありません。
また、現実的にほぼ遭遇しないような大事件に見舞われて、
主人公が成長しながら解決するという本でもありません。
この本に描かれているのは、生々しい人間の生き様と成長の物語です。
主人公は中学生のとても素直な少年「コペル君」ですが、
大人になった自分がいつの間にか蓋をしてきた、
感情や過去の蓋をべりっとはがされる感覚になります。
一度読んだだけではうまく解釈できないですが、
流したくない言葉たちが生きている本です。
作者の歴史・性格
原著の吉野源三郎(1899年-1981年)さんは 岩波書店の総合雑誌『世界』の初代編集長です。
戦後の平和運動に尽力し、「平和への意志」等も出版している。
性格はとても信念の強い人で、執筆に際しても何度も修正を加え、
わかりやすい文章を追求するなど、妥協しない性格であったようです。
考察
参考記事の最後にある通り、吉野源三郎さんは「必要なものは勇気」だと話しています。
戦後の動乱の中で、反戦・平和運動に尽力するなど、時代を強く生きた吉野さんだからこそ、
このように読者の心を打つ物語を書くことができたのではないかと思いました。
「勇気を持って」と口で言うのは簡単ですが、実際にその場面に直面した時
実行しようと思うと大人の自分でもなかなか難しいものです。
勇気を持とうと決心したコペル君が、本当に勇気が必要な場面に遭遇した時の、
自分の弱さとの葛藤は、フィクションだからハッピーエンドという話ではなく、
本当に生々しく描かれています。
書評でも書いた通り、まだ1度読んだだけでは理解しきれていない部分が多くあると思いますが、
「人と同じことが良いこと・人と違うことは悪いこと」と人に人生を委ねてしまっている
自分にとっては刺さる本でした。
チャート
おすすめの人
・人生に一度立ち止まった人
・人生の壁に直面している人
・生きている意味を悩んでいる人
・今より成長したいと思っている人
・勇気を持ちたい人